ベルトラ株主コミュニティ
VELTRA TIMES

2022年12月期の振り返りと
国内市場の回復を見据えた成長戦略
社長インタビュー 代表取締役 二木渉

国内・海外市場ともに低迷するなか、ビジョン・ミッションを再定義し、ブランドロゴもリニューアルしたベルトラ。その理由とアフターコロナにおける成長戦略について二木渉社長に聞きました。

人を想い、人に寄り添うことでよりよい世界を実現。
心ゆさぶる体験を未来に届ける。

2022年3月、旅行市場の回復に向けて少しずつ光明が見え始めてきた今、ベルトラはビジョン・ミッションの再定義とロゴの刷新を行い、企業としても進化を続け、生まれ変わります。

VISION

人を想い、人に寄り添うことでよりよい世界を実現する

Realize a better world through hospitality

原点回帰:旅行会社になってはならない

MISSION

心ゆさぶる体験を未来に届ける

Design the genuine experiences of tomorrow

ミッションは「心ゆさぶる体験を未来に届ける」です。「心ゆさぶる体験」とは、世界中の文化や自然、それを伝える人々の素晴らしさついて、心の底から実感できるような本物の体験のこと。そして私たちはそれを求めるお客さまに寄り添い、心ゆさぶる体験に出会うための手段を提供します。これは創業以来ずっと大切にしてきた我々の原点ですが、これからは旅行中に限定せず、より広い視野で取り組んでいきます。旅が「心ゆさぶる体験」を提供するための最も重要な手段であることに変わりはありませんが、時代に先駆けてイノベーションを創出してこそベルトラです。事実、今私たちが提供しているソリューションやサービスは旅行会社の領域をはるかに超えています。ですから、ビジョン・ミッションの再定義において「旅行会社になってはならない」と、社員に強く伝えました。

世界の扉が再び開くその時に

LOGO MARK

この世界から旅がなくなることはない。
その絶対的な事実に基づいて営業活動を強化。

長引くコロナの影響で2021年度の旅行市場は国内・海外旅行とも低迷しました。当社もアクティビティを提供できる機会を得られない厳しい事業環境が続きました。そのなかで私たちは「この世界から旅がなくなることはない」という絶対的な事実と、アフターコロナを見据えた独自の回復シナリオに基づいて国内の営業活動を強化。需要回復時に即座に対応できるよう、新たなアクティビティの開発も継続して進めてきました。OTA事業では2021年1月に株式会社オープンドアを引受先として、プラットフォーム事業(リンクティビティ)では12月にNTT西日本を割当先として、第三者割当増資を実施。財務体質も強化しています。

従来の領域に留まらないOTA事業と新たに立ち上げた観光IT事業、
この2つを軸に企業価値の最大化を目指す。

新型コロナの感染拡大以前はOTA(オンライン・トラベル・エージェント)事業に経営資源の大半を投入してきました。その未来はけっしてネガティブではありません。競争優位性の源泉となりうる資産を活用し、新しいサービスを提供できるのが私たちの強みです。現在は、従来の領域に留まらないOTA事業と新たに立ち上げた観光IT事業の2軸で企業価値の最大化を目指しています。

旅そのものを見直し、資産を積み上げたOTA事業

また、OTA事業では「ベルトラ・オンライン・アカデミー」「世界のGOHAN」、観光IT事業では「Umami Recipe」「YOKKA(よっか)」「Zenes(ゼネス)」など、ストック型の新サービスを続々とスタートしました。短期間でめざましい収益が得られるサービスではありませんので数字をご覧になって心配された方もおられたかもしれません。しかし今までにないスピードで新しいことに挑戦する過程で、私たちは旅そのものを見直すことができました。そして、お客さまにとっての「心ゆさぶる体験」を今まで以上に広い視野で考えられるようになりました。厳しい状況のなかでも多くの自信を得ることができ、事業環境の改善後にも役立つ資産を積み上げられた1年でした。

ベルトラ・オンライン・アカデミー
世界のGOHAN
Umami Recipe
YOKKA(よっか)
Zenes(ゼネス)

タッチポイントの拡大とコンテンツの多様化で
2025年までに”ファン100万人”の会員組織を目指す。

ファン100万人とは、当社サービスを年に2回以上利用していただく会員を意味します。2019年時点でこういった会員は約18万人でした。つまり2025年までにベルトラの利用価値を5倍以上高めることを目標とします。しかし2019年の日本人海外旅行者数約2000万人から算出すると、2025年までにファンを5倍にすることは事実上不可能です。そのため今期、最優先に取り組むのはベルトラ会員のアクティブ化です。ベルトラでは海外旅行の予約体験をコアとしながらも、国内旅行やその他サービスの利用を促進し、顧客エンゲージメントを強化します。たとえば「オンラインアカデミー」などのデジタルサービスを会員向けに無料とし、旅行の前や後でも旅先の文化を体験できるようにするなど、既存会員の利用価値向上を目指します。

プラットフォームでつながる事業者のDX化とMaaSを推進

プラットフォーム事業(リンクティビティ)も強化し、今まで以上の価値をBtoB市場で創出します。今後はNTT西日本と連携し、彼らの包囲網とネットワークを存分に生かし営業活動を強化します。公共交通機関、観光施設、宿泊施設など、旅に関わるあらゆる事業者が私たちのプラットフォームでつながり、サービスを提供できるようにします(現在は90社)。そのためのポイントは、DX化とMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の推進です。コロナ禍で急速に進んだDX化の波に乗り遅れた企業を支援する。そして、複数の交通機関を結びつけ、人々の移動を変える。この2つをしっかりと進めておけば、インバウンド需要が回復したとき、コロナ禍でラインナップを拡充した商品を最大限に活用できる。本格的な収益拡大を目指すことができます。社会的にも意義のある事業ですので、ぜひ注目していただきたいですね。

市場環境の変化に柔軟に対応しながら新たな価値を提供

海外旅行市場については、ウィズコロナ・アフターコロナでの国境の段階的回復を予想しています。それを実感できるまではもうしばらく時間がかかると思いますが、私たちはこれからも市場環境の変化に柔軟に対応しながら新たな価値を提供してまいります。株主の皆さまには引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

原点回帰の必要性はコロナ以前から

~ビジョン・ミッションの再定義とブランドロゴリニューアルの背景~

今回、原点回帰やブランドロゴのリニューアルについてお話しさせていただきましたが、私がその必要性を感じたのは、実はコロナ禍以前、2018年12月の株式上場後です。それまで当社は20年近くにわたって2ケタ成長を継続していました。しかも新しいことに挑戦して市場を開拓していたため、業界における注目度はきわめて高く、開業当時とは比較にならないほどベルトラは世界中の旅行関連企業から歓迎されていました。加えて社員のスキル、顧客基盤、販売ノウハウや契約先とのリレーションなど、今まで培ってきた経営資産が確実に積み上げられてきており、ベルトラの文化は成長期から成熟期に入ったと感じていました。それは良い意味でも悪い意味でも、企業文化の変化の訪れに他なりません。

これまでの資産を積み上げることは、間違いなく企業価値につながります。しかし未知への挑戦こそがベルトラの文化そのものであり、原動力であり、さらには優秀な人材を育てる屋台骨でもあります。強い危機感を感じた私は、原点に立ち戻り「旅とは何か」「これからの時代に求められることは何か」を社員全員で今一度真剣に考えなければならないと思い、ビジョン・ミッションの再定義を始めました。

新型コロナウイルスの感染拡大が始まったのはその矢先でした。いまだ出口は見えませんが、コロナ禍がなければ新たな市場やサービスへの挑戦、再定義されたビジョンやミッションの展開にもっと時間がかかっていたかもしれません。刷新したブランドロゴを前に、そんなことを考えています。

リンクティビティが提供する
シームレスかつボーダレスな社会

リンクティビティ株式会社 代表取締役 孔 成龍

2020年に、交通・観光・地域の活性化を目指し設立したリンクティビティ株式会社。サービス開始の背景と今後の成長構想について孔社長に聞きました。

デジタル化が遅れている旅行産業の課題を、テクノロジーの力で解決したい

Umami Recipe

リンクティビティは、人と移動(交通)・人と体験(観光)・人と人(地域)をつなぎ、シームレスかつボーダレスな世界を実現させるというミッションを掲げ、海外オプショナルツアー予約サイト「VELTRA」の新会社として、2020年に誕生しました。

事業を始めるに至った理由は2つあります。1つは、日本各地には素晴らしい観光資源がたくさんあるものの、その地域に土地勘のない旅行者がその場所に辿り着くのが難しいということです。 なかでも高齢化や過疎化が進んだ地方では、拠点となる空港や鉄道の駅から観光地に辿り着くまでの、バスやタクシーといった二次交通の課題が深刻です。地域を活性化させるには、交通と観光をもっとシームレスにつなげて旅行者の利便性を高める必要があると考えました。

もう1つは、交通機関や観光施設のデジタル化が遅れているということです。日本はeチケット化が進んでいないため、特に海外からの旅行者はいまだに紙などの実券を手に入れて、窓口等で引き換える必要があります。私も中国から日本に旅行した際、紙の旅券が郵送されるのを待ち、それを持って日本に行った経験がありました。 即時にデジタルチケットを発行できず、紙の実券が送られてくるのを待つのは、とても効率的とは言えません。交通会社や旅行会社からしても、わざわざ旅行者に実券を郵送するのはオペレーションとしても非常に手間となります。提供側も利用側も非効率なこの状況を、テクノロジーの力で変えたいと考えました。 というのも、私はもともとエンジニアで、ITを使って社会を良くするべく、SAMSUNGやパイオニア、LINEでシステム開発や事業開発に携わってきました。色々な領域がデジタルによる恩恵を受ける一方で、旅行産業はアナログから抜け出せていませんでした。そこにIT×旅行の可能性を感じ、VELTRAに入社し、リンクティビティを立ち上げました。

交通・観光・体験・人をつなぐプラットフォームを提供

リンクティビティが提供しているバリューは2つあります。1つ目はサプライヤーである鉄道・バス・観光施設・催行会社や、旅行会社に対してデジタルソリューションを提供していること。2つ目は、サプライヤーと国内外の販売チャネル(旅行会社・OTA)をつなげて、送客を強化していることです。

このビジネスモデルを作るにあたり、まず取り組んだのがデジタル化と新しい流通構造の開発でした。今までは、業界全体で共通の仕組みがなく、各社でシステムやオペレーションが異なっていたため、サプライヤーの鉄道会社や観光事業者も、販売チャネルの旅行会社や航空会社、ホテル、MaaS事業者等も、それぞれが個別対応をする必要がありました。

そこで、サプライヤーに対して、eチケットシステムや在庫管理システム、販売・精算システムなどのデジタルソリューションを提供し、すべてをオンラインで一元管理できるようにしました。そしてリンクティビティは販売チャネルと連携し、サプライヤーとの間に入ることで、N対Nで煩雑だった流通構造を、1対1対1のシンプルな流通構造に変えたのです。

観光領域のプラットフォームはたくさんありますが、その中でリンクティビティの優位性は、私鉄や地下鉄、JRなど交通領域を軸にして、各社とシステムを連携したこと。 鉄道会社とのシステム連携は、コスト面やセキュリティ面からも簡単なことではないため、導入されている事業者からは「リンクティビティで一元管理したい」との声をいただいています。結果、他社の参入障壁がとても高いサービスとして成長することができたと考えています。

QRコード1つで交通、入場が可能に。旅行者の利便性も格段にアップ

リンクティビティがサプライヤーと販売チャネルの間に立ったことで、旅行者の利便性は格段に上がっています。今までは、紙のチケットを駅の窓口等に持って行って引き換えるなど、アナログな行動が発生していましたが、今は券売機にQRコードをかざせばチケットが自動発券できるようになりました。

現在、QRコードでそのまま改札を通れる仕組みと、交通も観光施設も一つのQRコードで利用できる仕組みを構築中ですので、今後は飛行機や鉄道の予約・購入から観光施設の予約・購入・体験まで、一つのサービスとしてつながる世界が実現するでしょう。

また、地域からしてもリンクティビティが与えるインパクトは少なくありません。これまでは、地域の観光資源や体験商品を多くの人に届けたくても、地域単体で魅力を伝え、観光地と交通をつなげて送客することに高いハードルがありました。それがリンクティビティによって地域の魅力発信と集客の両方が実現するようになったのです。

近い未来、当日の天候を考慮した現地の観光地や体験を“ホテルの客室”でレコメンドし、旅行者が即時予約して出かけられる仕組みも検討中です。より地域社会に貢献できるサービスになっていくと考えています。

日本から世界へ。シームレスでボーダレスな社会を目指して

Umami Recipe

2020年の設立以降、リンクティビティは導入するサプライヤーや連携する販売チャネルを一社一社増やしながら、よりシームレスな移動を実現するための実証実験や、これまでになかった観光商品のセット販売などに取り組み、事業を成長させてきました。
しかし、プラットフォームを拡大し、サービスを拡張するためには、個社ごとではなく面で一気に広める必要があります。3年後に3000社のプラットフォームを実現させるためにも、業務提携をしたNTT西日本が持つ自治体ネットワークをうまく活用しながら、地域のサプライヤーや販売チャネルを増やしたいと考えています。

そうして実現させたいのは、シームレスでボーダレスな社会です。交通や観光、体験の予約・購入から利用までの利便性を徹底的に高め、日本でナンバーワンの観光プラットフォームになり、グローバルにも展開していく予定です。
株主の皆様や投資家の皆様には、ぜひご期待いただけますと幸いです。

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