国内体験、訪日客向けサービスの強化
国による観光業支援「Go To トラベル」の盛り上がりに合わせ、国内旅行事業にリソースを投入し、商品数を大幅に増やしました。選択肢の数という点で国内旅行に軸足を置いた競合企業に並ぶことは容易ではありませんでしたが、「ベルトラならでは」のオリジナリティの高い商品の組成に注力することができました。
またインバウンド旅行客向けのサービスLINKTIVITYもコツコツと仕込み、来たる世界の往来回復を見据えた取り組みも実施しました。
OTA事業(国内)
2020
農泊体験ツアー、エコツアーの提供開始
オンラインアカデミー国内体験の提供を拡大
「家チカ体験」の提案
2021
第2種旅行業免許へ変更、国内での募集型企画旅行商品の販売が可能に
16回エコツーリズム大賞 特別賞受賞
「日本の離島」国内体験アクティビティの提供を本格化
2022
環境省と国立公園オフィシャルパートナーシップ締結
オリジナル国内旅行「日本を紐とく旅」開始
ふるさと納税返礼品に現地体験アクティビティを提供開始
2023
アソビュー社との戦略業務提携を締結
サスティナブルツアー「大人の修学旅行」販売開始
観光IT事業(訪日)
2020
リンクティビティ株式会社設立(シンガポール法人から移管)
東京メトロ・都営地下鉄にQR コード発券システム提供開始
東京スカイツリーと連携
2021
東京タワーと連携、入場チケットのデジタル販売を開始
2022
Peach Aviation と連携開始、チケット・周遊パスの販売開始
2023
取り扱い商品、販売チャンネルを順次拡大中(販売元/サプライヤー:275社、販売先:280社)
ファイナンスによる財務基盤の安定化
コロナ禍における資金の減少に対象すべく、固定費の大幅な削減とともに、2020年12月にオープンドア社への第三者割当による増資で15億円の資金調達を実施。2022年には需要回復を見据えた成長投資のため、新株予約権を活用した約10億円の調達を行い、ベルトラ海外事業の再構築、国内事業の拡大、システム改善を実施中。
また2021年12月には、リンクティビティ株式会社において、チケットプラットフォーム事業の拡大、新規サービスの開発を目的とし、NTT西日本への第三者割当による増資で約1.5億円の資金調達を実施。
ファイナンスによる経営基盤の安定化によって中長期の成長投資を可能にするとともに、回復期以降の成長の加速を図ります。
2023年~
今後の成長シナリオ
ピンチをチャンスに、コロナ禍で仕込んだ取り組みが実を結びはじめ、各事業が着実に成長。海外旅行も本格的な回復基調に乗りました。コロナ禍前を超え持続的に収益を拡大できるよう、成長分野に投資を実施しています。もっとシームレスな体験をお届けできるよう、旅行領域の課題をキャッチし、先進的なサービスが提供できる体制の構築に注力します。
投資~回収期と捉え、2024年以降にはコロナ禍以前を超える収益を目指す
- 海外旅行市場の回復に備えた商品拡充、システムリニューアル
- 国内旅行市場のシェア拡大に向けた商品拡充とチケット事業の提携強化
- 訪日旅行市場における商品カテゴリ、販売チャネル追加によりTAM拡大
- 新規事業への投資(byFoodへの投資)
2023年12月期 第2四半期の成果と
海外旅行市場の本格的な回復に向けた成長戦略
社長インタビュー 代表取締役 二木 渉
日本人出国者数が2月~6月の5カ月連続で50万人を超え、訪日外国人数は1,000万人を突破。旅行業界全体が本格的な回復時期を迎えるなかで取り組んだ施策の成果と今後の戦略について、二木渉社長に聞きました。
国内旅行、インバウンド事業の取扱高が増大
海外旅行事業は円安と国内情勢不安のなかで着実に回復
2023年12月期上半期(1月~6月)は、日本人の出国者数が2019年の約4割まで回復(約361万人/前年同期比476%)。訪日外国人数は約6.5割まで回復(約1,071万人/前年同期比2,010%)しました。
このような事業環境のなか、海外旅行事業の営業収益は2019年比で36%まで回復(6月単月では47%)。手数料単価は上昇傾向にあります。ただ、長引く円安と国際的な社会情勢不安が渡航需要の回復を鈍らせているのも事実で、海外旅行事業の伸びは想定内に収まったといえます。また、グループ会社が米国で運営するハワイ専門の現地体験ツアー予約サイト「HawaiiActivities.com」は、コロナ禍前の水準を大幅に上回っているものの、競合他社の台頭、リベンジ消費マインドの低下もあり、営業収益・予約数とも前年割れとなりました。
一方、国内旅行事業では日本人の延べ宿泊者数が2019年の水準に到達。商品ラインナップ拡充(約7,300商品)の効果も大きく、営業収益、予約数ともに前年同期と比べて大幅に伸びました。またインバウンド事業(LINKTIVITY)は、プラットフォームを通じた鉄道・施設チケットの予約取扱高が訪日外国人客数の回復率を上回るスピードで成長。販売元の契約社数も堅調に推移し、売上高は前年同期比で約10倍となりました。海外旅行事業とHawaiiActivities.comの回復を待たずして勢いを取り戻した国内旅行とインバウンド事業が業績の伸びに貢献しているという形ですね。
あらゆるサービスのクオリティに直結する
基幹システムのリニューアルに注力
2023年12月期下半期(7月~12月)の海外旅行市場は、先行する欧米市場とインバウンド市場の回復状況から、日本人の海外旅行市場も緩やかに回復(2019年比で年平均47%~67%の回復率)すると想定しています。私自身も先日、欧州旅行に出かけてコロナの影響がほぼ完全に解消されていると実感し、今後はコロナ以前を上回る成長を遂げていくと確信しました。
ただ、日本ではコロナに関係なくウクライナ情勢に起因する物価高と円安が続いており、それが海外旅行のマインドを鈍らせています。出かければ楽しいことが待っていると分かっていながら、渡航を躊躇している人が多い状況ですね。その現状を打破し、2024年以降の集客強化、CVR(コンバージョンレート)向上を実現するための施策として下半期は、国内旅行、インバウンド事業も含めたサービスのクオリティに直結する基幹システムのリニューアルに注力します。
国内旅行事業は商品ラインナップのさらなる拡充とプロモーションの強化を軸に、前年比2倍の予約数を目指します。インバウンド事業は利用者の増加に合わせて商品カテゴリーと販売チャネル(鉄道・バス等の主要交通事業者・観光施設)の充実をはかり、TAM(獲得可能な最大市場規模)を拡大させ、取扱高の成長スピードを加速します。
システムの連携とプロモーションの強化で
早期の予約機会を創出し、お客さま満足度を高める
2024年以降の成長のための投資計画については、予算を6億4,000万円に設定。投資額は売上の増加と収益の拡大に寄与している事業ほど大きく、海外OTA事業の成長を目的とするシステム改善が1億9,700万円、プロモーション施策の強化が1億3,400万円、インバウンド事業の成長促進が1億2,500万円で、現在までに約2億5,000万円(投資消化率38%)を実施済みです。
投資を計画どおりに進め、効果を最大化するためのポイントは、どの事業においても人材の確保です。日本では少子高齢化による人口減少が人材不足の最大の要因となっていますが、旅行業界の人材不足は世界共通。出入国が厳しく制限されたコロナ禍の約3年間で、多くの人材が旅行業界を離れてしまいました。それによって今、活況を取り戻した世界の観光地では見学・宿泊ともに予約が困難になっており、観光客の満足度の低下を引き起こしています。私自身の感覚ではコロナ禍前は1カ月前なら問題なくできた予約が、今は3カ月前でも困難になっていると感じています。人が足りないのでニーズに応えられないのです。
そのなかで我々はこの半年間、コロナ禍で流出したIT人材の採用を最重要課題として取り組んできました。開発部門の採用人数はタイミングの見直しを行った関係で少し不足していますが、適時の外部委託と下半期の採用活動でカバーします。その一方で人材の再配置も実行。コロナ禍で国内旅行と新規事業部門に異動し、たくましく成長を遂げた人材を再び海外旅行事業へ投入してプロモーション力の強化を図ります。
現地におけるサービスの供給力が著しく限定されているなかでお客さまの満足度を高めるのは簡単なことではありません。しかし、積極的な人材採用と開発体制の整備によって大幅にグレードアップしたシステムの連携とプロモーション施策の強化で、早期の予約機会を創出するという新たなチャレンジが、ベルトラをさらに強くたくましくする。私はそう信じています。
今まで以上の「心ゆさぶる体験」を開発・拡大
いつもベルトラを応援していただき、ありがとうございます。株主の皆さまにはこのコロナ禍でご心配もあったかと思います。現在は旅行回復期の最中ではありますが、すでに見通しは立ち、コロナ禍前以上に成長するための施策に舵を切り始めました。
当社では中期計画で、現在の旅ナカ市場の領域拡大を実施し、ベルトラ会員の皆さまに今まで以上にさまざまな「心ゆさぶる体験」に出会うためのソリューションを開発しております。株主の皆さまにも当社の体験商品をさまざまな場面でご利用いただける機会をより一層拡大してまいりますので、ぜひご利用ください。
AFTER TALK
お客さまの可処分時間を増やして
サステナブルな成長を目指します。
投資~回収期と捉え、2024年以降にはコロナ禍以前を超える収益を目指す
現地ツアーの市場でベルトラらしさを明確にするポイントは、お客さまの可処分時間を増やすことだと考えています。可処分時間は、お客さまが自由に使える時間のことで、たとえば4泊6日のツアーで観光名所へ出かける機会が2回あるとすれば、我々のサービスを利用していただける時間はトータルで14~15時間ほど。例えば今後、アコモデーション(宿泊施設)を含めた観光体験という新たな価値を提供することによって、お客様の可処分時間を20時間、30時間へと増やすことができます。回復期を迎えた今が最大のチャンス。コロナ禍前を超える持続的な成長を実現するためにも、しっかりと取り組んでまいります。