しなやかに、柔軟に。
社員の気持ちに寄り添いながら、
誰もが活躍できる環境をつくっていく。
取締役 COOインタビュー 萬年良子
取締役COOの萬年良子氏が目指すのは、年齢、性別に関係なく全ての社員が活躍できる環境の実現。2016年の入社以降、牽引してきた社内改革や人材の育成、そして今後のビジネスの取り組みについて聞きました。
外資系企業で学んだことを活かし
ベルトラで最高の職場環境をつくりたい
ベルトラ入社前、私はアメリカン・エキスプレスに30年弱在籍し、オーストラリア赴任を含めて、世界中の海外トップリーダーと仕事をしてきました。日本と海外の企業文化や、仕事に対する価値観の違いを理解し、何よりも優れたリーダーから多くのことを学びました。だから今は恩返しの時です。
2006年から4年間在籍したシドニーアメックスでは、人事部門の社員も現場の業務を経験し、マネジメントの手法を学んでいました。現場を知ることがより良い人事施策をするための第一歩という考え方なのです。日本ではあまり聞いたことがない新鮮で先進的な考え方でしたので驚きましたが、「社員に寄り添う」ことは最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整備することなのだと感じました。これは「社員を甘やかす」のではなく、本質的な仕事をしてもらい、最高の結果を出すために、社員目線で課題を解決するための「寄り添う」です。日本の企業もそのように変革するべきだと感じました。
ベルトラに入社するきっかけは二木社長から「カスタマーサービス部門(以下:CS)を助けてほしい」と声をかけていただいたことです。
旅行業界のCSは時差や現地とのやりとりで平常時もハードワークになりがちです。当時のベルトラは、いわば第二創成期。二木さんの社長就任と本社移転から日が浅く、キャリアパスや働き方に関する制度がまだ固まっていない状態でしたので、このままでは繁忙期の夏の旅行シーズンを前に離脱する人が出てくるかもしれないと危惧されていました。実際に会社を訪問した際、若い社員が多くエネルギッシュな空気に圧倒されたことを覚えています。なんとかこの会社に、私が海外で吸収したことを還元できればと思い、入社を決意しました。
入社後まず1カ月間かけてCS部門全てのスタッフから仕事内容や就業時間、職場の状況等についてヒアリングをおこないキャリアパス制度の構築、残業時間の短縮、生産性の向上をはじめ、33本の施策を社長に提出しました。驚いたのは、「萬年さん、全部やってください」と即答されたことです。「人事部門が軸になる施策が多いから、CSの課題を解決したあとは人事部門の責任者として改革を進めてください」と言っていただき、なんとしても期待に応えなければと思いました。
CSスタッフのために確立した在宅勤務制度を
他部門へも展開して働きがいのある環境を構築
最初に取り組んだのは、CSスタッフの評価方法の修正です。もっと主体性が伸びるような評価方法にアップデートし、ヒアリングの内容を基に細かな規則も変えていきました。傍から見ると些細な変化の積み重ねかもしれませんが、業務効率を高めるために、業務以外のことでエネルギーを使わなくても良い環境を整備することは重要だと思います。
Work From Home(在宅勤務)の導入も、CSのスタッフが最初。家族の転勤により退職を希望されたのですが、CSには不可欠な存在でしたので、全力で引き留めました。そして本意を確かめたところ「ベルトラで仕事を続けたい」ということもあり、人事で早急に制度を創り、役員会で承認を得ました。1年も経たずに施策の結果は実を結び、離脱者や残業は激減、繁忙期には営業社員がサポートしていたCSは強く生まれ変わりました。社員の力が結束された結果です。
意識していたのは、自由と自己責任の改革をしなやかに進めていくこと。敵をつくらず、争わず、社員に寄り添いながらスマートに働きがいのある環境を整えていくことです。
Work From Homeは他の部門でも導入され、人事制度の整備を軸とする33本の施策は次々に実現していきました。産休・育休制度もこのときに充実をはかり、今では復職率ほぼ100%の制度として定着しています。
具現化した数々の施策のなかでも、キャリアパス制度の導入は特に肝いりの施策です。それによって、CSからテクノロジーや営業、人事など、さまざまな部門への異動が可能になり、活躍してマネージャーとしての資質を開花させる人も続々と出てきました。活躍できる人が増えると、それは会社に還ってきます。「個を活かす」働きやすい環境の整備を通じて成果を出し、この会社を成長させ続ける。それが私の果たすべきつとめだと思っています。
特に女性リーダーの活躍を支えるため、多様性ある人財がやりがいを持って働くことができる職場環境を整備
- 2018年テレワーク制度「Work from Home」部分導入
- 2020年スムーズな完全テレワーク化を実現
- 2021年独自ワーケーション制度「Work from Anywhere」導入
社員それぞれの状況に合わせ、世界中どこからでも
最適な場所を選んで業務を行える制度
ワークライフバランス向上と生産性の高いアウトプットができる働き方を目指す
ソートリーダーシップの向上に取り組み
サステナブルなツーリズムを牽引します
これからの日本は個人の時代。自身の存在価値を知るため、自分が正しいと思うことを貫くために勇気を持って行動する若者も少しずつ増えていくと思います。外から見た日本は、アウトプット力が不足していて、リスクを取らない国です。だから本質を見きわめるために立ち上がろうとする若者が育っているとも言えますね。
彼らの存在は今はまだ少数でも、やがて多くの企業に影響を及ぼすことを期待します。たとえば今、企業のテーマのひとつにSDGsがありますが、利益を度外視してやりたいことに取り組む若者が増えれば、周囲の様子をうかがいながら小手先で取り組んでいるような企業は見向きもされなくなる。それは、大企業でも中小規模の会社でも同じでしょう。
そんな社会で私たちがサステナブルなツーリズムを牽引するためには、ソートリーダーシップ(※)の向上が不可欠です。ベルトラが求めるソートリーダーシップとは、社会課題を捉え、関わるステークホルダーが共に成功でき、斬新でイノベーティブなソリューションの創出。そのために、誰に何を届けたいのか?それをすると何が良いのか?本質を貫き、中長期的な視点で戦略的なビジネスモデルを検討することです。考えて主体的に行動できる次世代のリーダーを育てるためにも、とりわけ、マネージャー職以上の人材には今まで以上に期待を込めて、高いこころざしと広い視野を求めていきます。
ソートリーダーシップを育成するためのポイントは、目的と意義を明確にすることだと思います。たとえば新規ビジネスを立ち上げたとき、マネージャーには必ず「ここであなたがやりたいこと、やるべきことは?」と問いかけます。そしてこの新たな取り組みは、お客さまにとって、その業界にとってどんなメリットがあるのか、というところまで掘り下げて話をします。なぜなら社会的な価値を追求できない企業に未来はないからです。そういう話ができるのは現場と経営陣の距離が近いベルトラならではです。現在は直属のディレクターがその都度、現場とコミュニケーションをとっていますが、その距離感を保ったまま教育プログラムとして確立することも、ベルトラならできるのはないかと思っています。
(※)ソートリーダーシップ(Thought Leadership)・・・・・特定の分野(業界・テーマ・社会問題)において、将来を先取りした革新的なアイデアや解決策をいち早く発見し、示すことでその分野における行動をとること。
一人ひとりの社員と寄り添いながら
旅行業界で新たな価値を創出します
「人を想い、人に寄り添うことでよりよい世界を実現する」。このビジョンに基づき、私たちは主体的に行動できる人、社会と関わり良い方向へ変えていきたいという人を積極的に求めていきます。そして、一人ひとりの社員と寄り添いながら、責任を持って仕事に取り組める人、結果を追求できる人材を育成することでベルトラの企業価値を高めていきたいと考えています。
どれだけテクノロジーが進歩しても、何をすべきかを決めるのは人。そして世の中を変えるのは、学歴やキャリアではなく強い意志と行動力です。私たちはこれからも、旅行業界で新たな価値を創り出していきます。
株主の皆さまには引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。
ベルトラ株式会社 取締役 COO